インターネットで勉強を教えていたときの話
学生の頃、アルバイトで子供達に勉強を教えていたことがあった。
しかもインターネットで。
パソコンにカメラを付け、インカムを付けて話しながら、ペンタブレットで書いていく。
生徒も同様だ。
個別指導をインターネットでやっているようなものである。
当時としては最先端だったと思うが、それはそれは結構大変なものだった。
まず、アクセスしてくる生徒は固定ではなく、小学校から高校まで千差万別。
簡単な問題から難しい問題まで色々と・・・
この時に初めて「つるかめ算」を勉強して理解しました(笑)
そんな折、高校3年の女子高生に教える機会があった。
志望校は東大。
結構難しい質問が来るのかと身構えていたが、そんなことはなかった。
というより、彼女の学力が東大に入れるほどのものではなかった。
「東大に入れるかなぁ?」
と聞いてきた。
季節は秋だ。
「無理。」
と答えた。
講師としてはありえない答えである。
普通は「大丈夫、きっと合格する!」「がんばれば今からでも間に合う!」とか答えるのだろう。
実際、他の講師に教えてもらったりしていたときは、そう言われていたそうだ。
ときにはそういう希望を持たせることが必要な場合もある。
しかし、彼女の場合はそれ以前の問題だった。
自分の本当の実力や理解度を分かっていなかった。
私はそれを告げる必要があった。
「大丈夫、きっと合格する!」「がんばれば今からでも間に合う!」と言うのは、無責任でしかなかった。
「無理って言われたの初めて!」
悲しげな表情と共に笑いもあり、複雑だった。
そんなこともあって何かしら信頼を得てしまったのか、それ以来、受験が終わるまで私がほとんどの科目を教えることになる。
しかし無理なものは無理だった。
滑り止めもほとんど受けていなかったらしく受験は全滅。
中途半端に大学に行く気もなかったようだ。
浪人確定である。
その後、彼女がどうなったのかは私は知らない。
あの時の回答が正しかったのか、私は分からない。
それもまた「無責任」なのだろうか。
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